ヴェルト・マギーア ソフィアと竜の島

「私は……お父さんとお母さんを殺した人に、ただ会いたかっただけなんです」

「なっ……お前は馬鹿か!」
 
ソニヤの発言に俺は思わず怒声地味た声を上げた。
 
俺はソニヤの考えている事が理解出来なかった。

だって普通だったら、自分の親を殺した奴に会いたいなんて思わないはずだ。
 
俺だってそうだったんだ。母上を殺した……親父に、フォルティスに会おうだなんて一度も思った事なんてない! 

きっとあいつに会ったら俺は……この右手で殺しに掛かるだろう。
 
俺の声に驚いたソニヤは、体を震わせながらこちらをじっと見つめてくる。そんな彼女を見て俺は息を深く吐いた。

「そいつに会ってお前は何がしたいんだ? まさか子供のお前が敵でも討つっていうのか?」
 
その言葉にソニヤは頭を大きく左右に振った。胸の前でぎゅっと手を組むと、そっと呟くように言う。

「理由を……聞きたかったんです。どうしてお父さんとお母さんを殺したのか……」
 
ソニヤはそう言い終えると、両目から大粒の涙を零した。

その姿を見て胸の辺りがチクリと傷んだのを感じ、俺はポケットからハンカチを取り出す。

「泣くなよ、ほら」
 
涙が流れ落ちる頬にそっとハンカチを当て彼女の涙を拭う。

これで泣き止んでくれたら幸いなのだがと、そう思っていた時、何故か彼女は更に涙をボロボロと零して、今度は声を上げて泣き始めてしまった。

さすがに焦った俺だが、どうして彼女が泣き止まないのか理由が分からなかった。
 
やっぱり最初に強く言い過ぎてしまったのが原因だろうか、それとも両親の死を思い出させてしまったのが原因なのだろうか!? 

泣かせてしまう原因の心当たりが多すぎて、どうすれば泣き止んでくれるのかと思考を巡らせていた時だった。