あの事件から一ヶ月が経った頃、私たちは元の生活を送っていた。

……いや、【元の生活】というわけには行かなかった。
 
一ヶ月が経った今でも、学校は復旧作業に追われているし、そのせいで授業再開の目途も取れず、生徒たちには自宅研修が今も言い渡されている状況だった。
 
私はあの事件から数日間、病院に入院していた。

魔力の数値や雫の検査、視力検査や聴力検査など、さまざまな検査が行われた。

他にも色々な検査を行ったけど、もう何をやったのかはほとんど覚えていない。

検査結果は全て異常なしだったけど、なぜあそこまでの検査が行われたのかは分からなかった。
 
アレスに聞いても頭を左右に振るだけで、私に何かを隠しているようにしか思えなかった。

それは後ほど探るとして、もう一つ変わった事と言えば私の体だ。

検査結果は異常なしだったけど、上級魔法を数回使っただけで私の体は限界が来てしまい、ここ数週間の内に何度も倒れた。
 
普通の日常生活を送る事にはあまり支障は出ないけど、使える魔法は制限されてしまっている。

それに今はアレスに見張られているから、好き勝手に魔法を使う事が出来ない。
 
最近だって、学校の復旧作業を手伝おうとして魔法を使ったんだけど案の定、数分で倒れてしまった。

それを何処で嗅ぎつけたのか、アレスからは【あまり魔法を使うな!】と散々釘を刺された。

倒れた時は体に熱がこもって息苦しく、数日は寝込む事になってしまう。

でもその度にアレスがくれる薬で楽になれた。