「アレス。そんな馬鹿は放っておいて、今日はもう宿を取りましょう」

「そうだな。このアホは放っておいて、宿探しをしよう」
 
ロキの服の襟元をパッと放したアレスは、踵を返してこちらへと歩いて来る。そして私たちの横を通り過ぎたアレスに続いて、私とカレンも歩き出した。

「ちょ! また置いて行くのかよ!」
 
するとその声にカレンは軽く息を吐くと、鋭く冷めた目をロキに向けて言い放つ。

「アホは地面で寝ろ」

「ひっ!」
 
その酷く冷めた声にロキは後退り、一滴の汗を滴らせた。
 
やっぱりカレンもそれなりにイライラが積もっていたのか、ロキへ対する態度が容赦ない。

……いや、それはいつもの事だった。