「お初にお目に掛かります。私はマールの主であるセイレーンと申します」
 
ブラッドに修行を付けてもらう中で、一度マールの主である魚人族のセイレーンと顔を合わせる事になったソフィアたち。

「私……人間観察が趣味なんです。ですから、私はあなたに凄く興味が湧きました」

「は、はあ……?」
 
セイレーンにも修行を付けてもらいながら、アレスたちは強くなるために日々奮闘していく。
 
そんな中、アレスの家に厄介になることになったブラッドは、たった一人で忘却の山へと訪れる。

「もう少しだ。あともう少しでお前と会える。だから待っててくれ、オフィーリア」
 
彼が見上げる目の前には、分厚い氷に閉じ込められる亡き恋人のオフィーリアの姿があった。
 
そして――

「ブラッドさん! どうして?!」

「全ては……このために用意したシナリオなんだよ」
 
それぞれ大切な物を守るために、ブラッドは魔剣アムールとレーツェルと共にアレスたちに襲い掛かる。

「お前に分かるのか?! 世界で一番大切な存在を失った時に抱く感情が何なのかを!」

「それはっ!」

「分かるはずがない! だってお前は……まだ知らないから!」

大切な存在を取り戻すため、そしてもう一度彼女の笑顔を見るため、彼は孤独に生き続けた。

「もう……やめて……私のために……自分を偽らないで……」

愛しい人に声を届けたいのに、手を伸ばしたくても伸ばす事が出来ず、彼女はただ泣き続ける事しか出来なかった。

ヴェルト・マギーア ソフィアと虹の花 近日更新