ヴェルト・マギーア ソフィアと竜の島

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結局ブラッドさんは考えた末に、俺の家に来る事を選んだ。

カレンは凄く悔しそうに頬を膨らませていたが、何とかブラッドさんが宥めた事によって、渋々と納得してくれた。

「つうか、魔剣の修行をつけてくれって言っても、具体的にはどんな風になりたいんだよ?」

「それはどういう意味ですか?」

「例えば、エクレールの力を完璧に使いこなせるようになりたいんだったら、俺に教わるよりもエクレール本人に教わった方が、色々と自分の為にもなるってことだ」

「そ、それはそうなんですけど……」
 
確かに魔剣の力を使いこなせるようになりたいなら、エクレールさんに色々と教わった方が良いのかもしれない。

でも……それだけじゃ駄目なんだ。

「もちろんエクレールさんからも、色々と教わる事はあると思います。でもそれだけじゃ、俺は強くはなれない」
 
そう言って右拳に力を込め、俺は真っ直ぐブラッドさんを見据えた。

「俺はこの力を使って大切な物を守りたい。その為には今よりもっと強くなる必要がある。だからブラッドさんに修行をつけて欲しいんです。だってあなたは、誰よりも魔剣の力を使いこなせているし、アルさんとの絆だって強い」
 
俺の言葉にブラッドさんは軽く目を見張る。

しかし直ぐに真剣な顔を浮かべると、上から下まで俺の体を見下ろす。

そして何を思ったのかニヤリと口の端を上げた。