✩ ✩ ✩
 
リュシオルたち竜騎士によって、無事に六月の岬まで辿りついた俺たちは地面へ下り立った。

それを最後まで見届けたリュシオルを除く竜騎士たちは、ラスールへと踵を返して戻っていく。

「アレスさん。姉上のこと、そしてエーデルの事をありがとうございました」

「いや、俺たちは何もしてないですよ」

「そんなことありません。姉上はあなた方に出会って成長出来たんですから」

リュシオルは最後にそう言うと優しく微笑むと、そのままラスールに向かって踵を返した。

その姿を見えなくなるまで見届けた時、ロキが深々と息を吐いた。

「はあ〜……何か色々とあって疲れたな」

「……そうね」
 
カレンは目を細めるとサファイアの柄を指先で触れる。そこで俺はある事を思い出してカレンに問いかける。

「そう言えば、カレン。ブラッドさんはどうしたんだ?」

「先生なら先に島を出ましたよ。用事があるとか言って」

「えっ! そうなの?!」
 
俺の言葉にカレンは首を傾げた。
 
ブラッドさんにはまだ聞きたい事がたくさんあったのに……。

それに魔剣について修行をつけて欲しかったんだ。

「はあ……」
 
少し残念だと思いながら軽く息を吐いた時だった。

「俺がどうしたって?」

「うわっ!」
 
突然、耳元で聞き覚えのある声が聞こえ、俺とソフィアは驚いて後ろに下がった。

そして慌てて顔を上げるとそこには、先に島を出たはずのブラッドさんの姿があった。

「ぶ、ブラッドさん?! どうしてここに居るんですか?!」
 
俺の言葉にブラッドさんは目を瞬かせると、少し気まずそうに頬をポリポリとかく。