ヴェルト・マギーア ソフィアと竜の島

「あの、ブラッドさんはマナ中毒について知っていますか?」

「もちろん、知っているさ。雫を持たない状態でマナを吸ったら、マナを魔力へと変化させることが出来ず、体はマナの毒によって蝕まされていく。それはアムールたちが暮らしていた世界では、難病として扱われていた。治療法もなく発症源も不明だった。しかしトトが星屑を使って雫を作り出し、それを俺たち全種族に与えたことによって、マナによって苦しむ人々は居なくなった。でもそのマナを生み出していた張本人は、未だあの世界で眠り続けている」

「そんな……」

「それを倒すためにも、私たち守護者は早く集まらないといけないのです。あれを抑えているトトだって、きっと限界のはず……」
 
レーツェルさんの言葉に俺は気になっていた事を問いかけた。

「あの、トトは生きているんですか?」
 
俺のその問いかけにレーツェルさんは、確認を取るようにブラッドさんへと視線を送った。

ブラッドさんは微笑すると軽く頷いてみせた。

「はい……トトは生きています。あの世界でただ一人、闇の存在を抑え込んでいます。この世界を作る時に差し出した対価を支払いながらも」

「……対価って?」

「対価とはこの世界を作る時に……いえ、世界の魔法を使う時にトトとエアが差し出した物のことです。この世界を作ると同時にエアは寿命を、そしてトトは心と目を差し出しました」

「じゃあ……トトは目が見えていないんじゃ!」
 
そんな状態でたった一人、その闇の存在を抑え込んでいるって言うのか?!

「知恵の女神エア、知識の神トトなんて呼ばれているけど二人は人間だ。女神でも神様でも何でもない。そんな二人が世界を救うために、自分たちのそれぞれの物を対価として支払って、この世界を作ってくれた。俺たちは当然その事に感謝しないといけないし、真実をしっておくべきでもあるんだ」

「……っ」
 
ブラッドさんの言葉に俺たちは目を下へと向けた。