「カレンはサファイアと同じ、王家の血を引いていた。だからカレンはサファイアの主になることが出来たんだ」
 
ブラッドさんの言葉にカレンは目を瞬かせた。まさかカレンも知らなかったのか?

「私がサファイアと同じ……王家の者ですか?」

「そうだ、カレン。だからお前は私にとっては、ようやく出来た主なんだ」

「サファイア……」
 
じゃあサファイアにとってカレンは、唯一無二の存在ってことになるのか。

でもブラッドさんは何でそんな事が分かったのだろう?

カレンでも知らない事をブラッドさんは知っていた。

もしかしてサファイアの主としてカレンを選んだもの彼自身なのだろうか?

「そしてアムールの力は、愛した人を思えば思うほど魔力を増していく能力だ」

「愛した人を思えば思うほど?」
 
そのブラッドさんの言葉にカレンの肩が上がったのが見えた。

その様子に首を傾げた時、ブラッドさんは言葉を続ける。

「そんなアムールの隣に居る彼女、レーツェルは神秘の力を用いてありとあらゆる魔法を無効、または防ぐことが出来るんだ」

「あ、ありとあらゆる魔法?!」
 
ロキは驚いて声を上げた。

その言葉に驚いたのは当然ロキだけじゃない。俺の隣に居るソフィアも、俺だって驚いて目を丸くした。

「と言いましても、全ての魔法を防げるわけではありませんよ。私の力を扱える人物は一握りだけです。私の力の源は【人を信じる心】ですから、信じる気持ちが強ければ強いほど、私の力は強さを増していきます。しかし逆に人を信じる心を失ってしまえば、私の力を使う事は出来ません」

「それにレーツェルは、闇魔法も浄化することが出来るし、暴食の悪魔のような存在だって斬る事が出来る」

「っ!」

その言葉に俺の中であの時の光景が過った。

それはブラッドさんがレーツェルさんを使って、容赦なくヨルンを斬り捨てた姿だった。
 
あの時ブラッドさんは、レーツェルさんの力を使って暴食の悪魔を斬り捨てたんだ。