テトの言葉にブラッドさんは鋭く左目を細めた。

「戦争を終わらせたのは【エアとトト、そして守護者たち】だ。彼女が一人で成し遂げたものじゃない。そんなこと、あの女が一人で出来るはずがないからな」
 
【あの女】と言う言葉に、テトは目を鋭く細めた。

「その口振りだとあなたはそのエア本人に会ったことがある、って言っているように思えるんだけど? エアは知恵の女神として、私たちに魔法を言うものを与えてくれた。だから彼女の存在は、この世界の人たちにとって偉大な存在。尊敬するに値する存在なのよ? それだと言うのに、あなたはまるでエアの事を嫌っているようね」

「ああ、嫌いだな」
 
ブラッドさんはテトの言葉にそうきっぱりと言い捨てた。

その姿にさすがのテトでも驚いたのか目を見張った。

そしてブラッドさんの側に居るエクレールさんも、驚いて目を丸くしている。

「……話を戻そうか」
 
ブラッドさんは軽く息を吐くと再び話し始める。

「魔剣は確かにエアの恩恵を受けている。当然、その力は個々によって違うものだ。例えばエクレールだったら、黒い粒子を浄化する力を持っていることだ。これはエクレール以外の者は誰も出来ない」
 
エクレールさんからサファイアさんへと、視線を動かしたブラッドさんは言葉を続けていく。

「サファイアだったらサファイア特有の魔力である、氷結の力を使うことが出来ることだ。しかしサファイアの主になるには、ちょっとした条件があってな」

「条件?」

「サファイアは氷国のお姫様なんだ。氷国は名の通りとても寒い国なんだけど、サファイアの氷結の力を操ることが出来るのはその氷国出身の者か、サファイアと同じ王家出身の者だけなんだ。じゃないと、氷結の力を上手く操ることが出来ない。サファイアを我が物にしようとしてきた連中は、氷結の力によって氷の中に閉じ込められて凍死させられる」
 
その話を聞いて背中に寒いものを感じ、やっぱりあの噂は本当だったんだなと思わされた。

じゃあもしかしてカレンは……。