ヴェルト・マギーア ソフィアと竜の島

「ザハラ……」
 
エーデルは彼女の名前を呼ぶと、まるで我が子を見るようにカーマイン色の瞳を優しく細めた。

「エーデル! こんなところにどうして?! なぜ……私たちに、民に何も言わずに姿を消したのですか!」
 
その言葉にエーデルは申し訳なさそう頭を軽く伏せた。

「ごめんなさい、ザハラ。あなたに伝えなかったのは、心配をかけたくなかったからです」

「……エーデル」
 
するとザハラとエーデルの話を聞いていたブラッドさんは、寝かせていた体を起こすと立ち上がり、ザハラへと向き直った。

「ザハラ。エーデルのことは許してやってくれ」

「……ブラッド様」

「小さかったお前が、巫女として成長した姿を見れて俺は嬉しかったぞ。それにエーデルがなぜ誰にも言わずこの地下へと身を隠したのか。それにはちゃんとした理由があるんだ」

「理由?」
 
ブラッドさんの言葉にエーデルが頷いた時、小さな竜の鳴き声が辺りに響き渡った。

「……赤ちゃん?」
 
その鳴き声が聞こえは方へとみんなは目を送ると、そこには生まれたての小さな白竜が一匹、エーデルの側で眠っていた。
 
その光景に俺たちは目を瞬かせて、いったいどういうことなのかとブラッドさんへと目を戻した。