「これはカレンもサファイアの知らない事を知るチャンスなのですよ?」

「さ、サファイアの知らない事を知る……チャンス!」
 
なぜかその誘惑にカレンは嬉しそうに瞳を輝かせた。

「ではまず、わたくしからお話するのですよ。光の巫女と呼ばれているわたくしは、実は光国(こうこく)の第一王女なのです」

「えっ! てことはエクレールさん、お姫様?!」

「そうなのですよ」
 
な、何か納得出来る……。

だって立ち振舞や言葉遣いだってまるでお姫様そのものだし、服装だってよく見ればお姫様っぽい。

「はい、エクレール先生。質問良いですか?」

「何でしょうか? ロキさん」

「光国なんて言う国なんて聞いたことがないんだけどさ、それはどんな国なんですか?」
 
ロキの言う通り【光国】なんて言う国は聞いた事がない。

もしかしてその国はヨルンやブラッドさんが言っていた、あの世界にある国なのだろうか?

「そうですね。光国という国はもう滅んでいますので、存在すらないのです」

「えっ?!」
 
その言葉に俺たちは目を見張った。

「そのことについては、後ほどお話致します。でも光国はとても美しい国なのですよ」
 
そう言ってエクレールさんは、懐かしむように胸の前で腕を組むと目を瞑った。

「光国は光の加護に守られた国であり、その中で私は光の巫女として光の声を聞いていました」
 
するとその言葉と共に、彼女の体が金色に光り輝いた。その姿はとても神秘的で、俺たちはその光景に見惚れた。

「そしてサファイアは氷国(ひょうこく)の出身であって、氷国の第三王女なのですよ」

「さ、サファイアもお姫様……」
 
カレンは信じられないとでも言うような顔を浮かべると、サファイアを見下ろした。

しかしサファイアは相変わらず何の反応を示さない。
 
このままだとサファイアに関する様々な秘密を勝手に暴露されて行くことになるけど、本当に良いのだろうか……。

それにさっきエクレールさんは、【お姉ちゃんの腕の中に飛び込んで来ても良いのですよ】と言っていた。

でも二人はそれぞれの国のお姫様だから姉妹でない。

じゃあ何でエクレールさんはあんな事を言ったのだろうか?