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「……」
 
さっき嫌な魔力を感じたのだけど、気のせいかしら?
 
そう思いながらソフィアへと目を戻した時、部屋から差し込んだ光がある一人の人影を移す。

「っ!」
 
その人物はそっとソフィアの髪を撫でると、その場から姿を消してしまった。

「……まさか」

私の中でとある人物が浮かび上がったが、直ぐに頭を振ってその考えを払い除けた。

「初代魔人王は血の涙もない、非道の存在だと言われていたけど。それは――」
 
真っ赤な嘘であるという事は誰も知らないでしょうね。

「だってそんな彼は誰よりも」
 
光の巫女であるエクレールを溺愛していたのだから。