「ひぃ!」

『エレノアの次はその娘に手を出すって言うのか?』

「す、既に死んでいるお前には、関係のないことだろ!」

『いや、あるさ』
 
そう言うと奴は瞳を紅く染まり上げた。その目を見たオイラの体を恐怖が支配した。

『それにあんたは、エルに酷い事をした。忘れたとは言わせないぞ』

「そ、それは――」
 
た、確かにあの女を殺したのはオイラだ。

酷く痛めつけて体中に噛み付いたり、両足を喰って立てないようにもしてやった。

でもそれの何がいけないと言うんだ!

『あのエルの姿を見て俺がどんな思いをしたのか、お前は知らないだろうな』

「っ!」

『だからお前にはこれから、存分に味わってもらうぞ。俺がお前に抱いた感情の全てをな!』

「ひっ!」
 
奴の体に共振の紋章が浮かび上がると、髪の色が銀髪へと変化する。

『覚悟は出来ているんだろうな?』

「こ、このクソ野郎が! 今更昔の事を蒸し返して何になるって言うんだ! それにオイラを倒したところで、もう全てが遅いさ! なんせこの世界にはもう、オイラ以外の悪魔たちがやって来ているんだからな!」
 
そうさ! オイラがやっとの思いで作った時空の割れ目のおかけで、オイラを除く六人はちゃんとこの世界にやって来た。

死んでいるこいつに、何が出来ると言うんだ。

『そうか。だったら、お前たちも既に遅かったと言うべきだな』

「な、なんだと?」
 
奴は俺の体を掴む手に力を込める。

『俺たちはもう六人が目を覚ました。お前らを迎え撃つ準備は整っている』

「目が覚めただって? ふん、笑わしてくれる。目を覚ましたと言っても、体を持たないお前に何が出来る!」

『……体なら、あるさ』
 
その言葉と共に奴は共振の力を発動させた。

さすがにまずいと思ったオイラは口を開く。

「ま、待ってくれ! 確かに今回はオイラが悪かった! もう二度とこの女にも目を付けないから、見逃してくれ!」

『……それ、誰に言っているんだ?』

「えっ……」
 
奴は左手を上げると、真っ赤な炎を出した。その姿にオイラは目を見張る。

『お前も知っているだろう? 初代魔人王は血も涙もない、非道な存在だってな』

「そ、それは!」

『だから――』
 
奴は瞳を紅く輝かせると言う。

『初代魔人王――リヴァイバル。その名に応じてお前を断罪する』

「いや、やめ――」