ヴェルト・マギーア ソフィアと竜の島

「おい、一つ言っておくが、レーツェルには指一本触れるなよ。今回は見逃してやるが次に彼女に触れたら、今度はお前の存在を灰にしてやるからな」

「ひぃぃぃぃ!!!」
 
アル……さんはそう言うと、一本の剣へと姿を戻した。

「もう! アムール様。そんな言い方はよくありません!」

『……っ』
 
アルさんは何も言わず、そのままブラッドさんの手の中へと戻った。
 
しかし一体何が起こっているんだ?! やっぱり魔剣って人になれるのか……。

レーツェルさんは優しく微笑むと、そのままムニンの側へと寄った。

そしてじっと黄緑色の瞳を見ると、嬉しそうに三度頷いた。

「やっぱりそうですね。あなたには【月の精霊】が付いています」

「……月の精霊?」

「はい」

「レーツェル。悪いけど、その話しは後でも良いか?」
 
ブラッドさんは苦笑しながら、レーツェルさんに言う。

「はい、大丈夫ですよ」
 
そう言うとレーツェルさんも魔剣の姿に戻ると、ブラッドさんの左手の中へと戻った。

そこで俺の中で、ある疑問が一つ浮かんだ。

「どうしてブラッドさんは、魔剣を二本使えるんですか?」
 
確か魔剣が主として選ぶのは一人だけだと、魔法協会がそう発表していたはずだ。

だから人間一人に魔剣は一本しか扱えないはずなんだけど。

「あ〜、俺はちょっと特別でね。その説明も後でしてやるから、さっきも言った通り後の事は頼んだぞ! アレス、エクレール」

「……えっ?!」
 
って何の説明もされていないんですけど!

『とりあえず、わたくしたちもやりましょうか』
 
すると俺の体にエクレールの魔力が流れると、俺の姿がとある騎士の姿に変わった。

「こ、これは?」

『わたくしの魔力を纏ってもらいました。しかし今回は初めてなので、あまり長時間纏うことは出来ませんが、それでも今は十分です』
 
その言葉と同時にエクレールの刀身がまばゆい光を放つ。