「だから彼は人間族でもあって、一応魔人族でもある。面白い奴が出てきたものだな」

『ややこしいな。しかしお前の目的のためにも、あいつの血は必要なんだろ?』
 
アルの言葉に俺は軽く笑った。

「ああ、だからとことん利用させてもらう」
 
魔人の彼女と一緒に彼にも俺の目的の為に役立ってもらうつもりだ。

そのためなら、二人を殺すことだっていとわない。

『お前も怖い男になったな』

「そうか? 俺は元からこんな人間だけど?」
 
そう、俺は元からこんな人間だ。

アルたちと出会う前だって、家族の敵を討つために自分の命すら使おうとした馬鹿なやつだ。

どんな犠牲を払ってでも、俺は復讐を成し遂げるつもりだった。

でもそんな俺を彼女は……光で包み込んでくれた。
 
暗闇の中に居た俺に光をくれた彼女は、俺にとってかけがえのない存在だった。
 
脳裏に彼女の姿が映り、俺は翡翠石を掴んだ。

「あと少しだ……。もう少しでお前に会える」
 
その為にも俺はこの世界を平和にする必要がある。

彼女が幸せになれる世界を作るためなら、俺はどんな事だってすると決めたんだ。

「だから待っていてくれ、オフィーリア」
 
ボソッと彼女の名前を呟き、俺は不気味に右目を紅く輝かせた。