ヴェルト・マギーア ソフィアと竜の島

「うがあああうううう!!」

「っ!」
 
右の森林から突然、我を失った竜人族が姿を現し、爪を鋭く尖らせ私を襲ってきた。

「――っ!」
 
殺られる――
 
そう悟って目をぎゅっと瞑りかけた時、突然サファイアの刀身が青白い輝きを放ち、私に襲い掛かってきた竜人族を、一瞬にして氷の中に閉じ込めてしまった。

「……っ?」
 
もしかしてサファイアが私を守ってくれた? そんな考えがふと頭を過り、サファイアに目を落とした時だった。

『危なかったな、カレン』

「っ!」
 
頭の中に女性の声が流れ、私は目を見張った。まさかと思って私は、震える唇を開いて彼女に問いかけた。

「もしかして……サファイア?」

『ああ、そうだ』
 
彼女、サファイアの声が頭の中に流れた時、私の目から涙が零れて頬に伝った。

体から力が抜けて、その場に座り込もうとした私の肩を誰かがそっと支えてくれた。
 
その拍子に風によってなびく青色の髪が目に入った。

「まだ体調が悪いんじゃないのか?」
 
後ろを振り返るとそこには、人間の姿をしたサファイアの姿があった。

初めて見た彼女の姿は、私が想像していた姿よりもずっと凛々しく、とても美しいものだった。
 
真っ青な青髪だと思っていた髪は、よく見ると毛先だけ水色のグラーデーションが掛かったようになっていて、青紫色のバンダナが額に巻かれていた。

服装は凄く暖かそうで、腰に巻いている締め帯の間から、宝石のターコイズブルーにも見える結晶が吊るされている。

それは彼女の左耳のピアスにも付いており、太陽の光に照らされると青白い輝きを放っていた。

「本当に……サファイアなんですよね?」

「……ああ、私だ」
 
その言葉に私は彼女の存在を確かめるように、ギュッと体に抱きついた。

「ようやく……ようやく、あなたに会えた! やっと、あなたの声が聞く事が出来た!」
 
サファイアは慣れた手付きで、私の背中を優しくさすってくれている。

「すまなかった、カレン。直ぐにお前の姿を見せる事が出来なくて……。でも、お前の声はちゃんと、私には届いていた」

「私の声?」

「お前があいつのために頑張っていること、私に認められようと必死に努力していたこと。全部……聞こえていた」

ちゃんと私の声は彼女に聞こえていた。……ちゃんと届いていたんだ。

それが何よりも嬉しくて再び涙が零れた。