ヴェルト・マギーア ソフィアと竜の島

「原因は分からないのか?」

「……残念ですが、分かりません」
 
そう言ったザハラは、悔しそうに唇を噛むと拳に力を込めた。

「エーデルに民を任されているのに……私が民を守らないといけないのに……こんな!」

「ザハラ……」
 
ザハラは翼を広げると背中にある剣を抜く。

「私は今から、生き残っている人たちに遺跡へ移動するように呼びかけます。あそこならまだ、エーデルの光の加護が残っていますから、しばらくの間なら大丈夫だと思うのです」

「だったら、私も行きます」

「カレン?」
 
カレンは鞘からサファイアを抜くと俺たちに背を向ける。

しかしサファイアの刀身にはヒビが入っているせいか、サファイアの魔力がいつもより弱まっている気配がする。

「カレン……大丈夫なのか?」
 
俺の言葉にカレンは軽く頷くと言う。

「心配してくれてありがとう。でも、私は大丈夫です」
 
そう言う彼女の背中から強い意思が伝わってきた。

「アレス。ここはカレンとザハラに任せて、俺たちは東の森に向かおぞ」

「……ああ、分かった」
 
最後にカレンたちの背中を見つめ、俺たちは東の森に向かって走り出した。

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東の森へと向かっていくロキたちの背中を見送り、私はこちらへ向かって来ている竜人族たちを瞳に映す。
 
そして深く息を吐き意識を集中させる。

「決して殺すのではなく、ただ凍らせるだけ」
 
そう自分に言い聞かせサファイアに魔力を注ぎ、刀身を地面へと突き刺す。

「我が魔剣、サファイアの内に秘められし力よ、その力を持って地平を凍らせ給え! 絶対零度!」
 
サファイアから冷気が発せられると、地面はたちまち凍りついていき、目の前に迫って来ていた竜人族たちを凍らせていく。

「ザハラさんは早く行って下さい!」
 
私の言葉に頷いたザハラさんは、翼をはためかせると村の方へと飛んで行く。

その姿を見届けた私も、村に向かって走り出そうとした時だった。