✭ ✭ ✭
前に一度だけ見た事があったんだ。
それは酷く雨が降っている日だった。
ここ最近カレンから避けられていた俺は、彼女とどう接したら良いのか分からなくて、どう言葉を掛けたら良いのか分からなくてずっと悩んでいた。
そんな中、母さんから買い物を頼まれて人気のない広場の前を通った時、一人ぽつんと佇むカレンの姿が目に入った。
「カレン?」
こんな雨の中どうしてこんなところに居るんだ? そう思って声をかけようとした時だった。
彼女の手の中にサファイアの存在がある事に気づき、俺は声を掛ける事をやめた。
するとカレンは体から力が抜けたように、その場に座りこんだ。
そして彼女は体を震わせながら泣いていた。
「ごめんさない……私のせいで……お兄様。ごめんなさい!」
雨の中、泣いているカレンの姿に俺は目を見開いた。
最初はどうして泣いているのか理解出来なかったけど、それからカレンの様子を遠目から観察するようになって、カレンが自分の存在について悩んでいる事に気づいた。
俺と距離を置いたのだって、俺が目標としているカレンにはなれないと思ったからなんだ。
「こんなんじゃだ……駄目なのよ! これじゃあ、サファイアに認められない!」
必死にサファイアに認められようと頑張っているあいつを見て、俺は力になりたいと思った。
側で支えたいと思った。そして――
俺は業火の魔道士として、この力をカレンのために振るおうと決めたんだ。
彼女を守るため、もう二度と涙を流させないために、俺はお前を追いかけたのだから。
前に一度だけ見た事があったんだ。
それは酷く雨が降っている日だった。
ここ最近カレンから避けられていた俺は、彼女とどう接したら良いのか分からなくて、どう言葉を掛けたら良いのか分からなくてずっと悩んでいた。
そんな中、母さんから買い物を頼まれて人気のない広場の前を通った時、一人ぽつんと佇むカレンの姿が目に入った。
「カレン?」
こんな雨の中どうしてこんなところに居るんだ? そう思って声をかけようとした時だった。
彼女の手の中にサファイアの存在がある事に気づき、俺は声を掛ける事をやめた。
するとカレンは体から力が抜けたように、その場に座りこんだ。
そして彼女は体を震わせながら泣いていた。
「ごめんさない……私のせいで……お兄様。ごめんなさい!」
雨の中、泣いているカレンの姿に俺は目を見開いた。
最初はどうして泣いているのか理解出来なかったけど、それからカレンの様子を遠目から観察するようになって、カレンが自分の存在について悩んでいる事に気づいた。
俺と距離を置いたのだって、俺が目標としているカレンにはなれないと思ったからなんだ。
「こんなんじゃだ……駄目なのよ! これじゃあ、サファイアに認められない!」
必死にサファイアに認められようと頑張っているあいつを見て、俺は力になりたいと思った。
側で支えたいと思った。そして――
俺は業火の魔道士として、この力をカレンのために振るおうと決めたんだ。
彼女を守るため、もう二度と涙を流させないために、俺はお前を追いかけたのだから。