「同情なんかじゃねえよ! 確かにお前は俺にとって目標であって、凄いやつなんだ。でもそれは魔剣サファイアに選ばれたからでも、氷結の魔道士でも、氷の女神の加護を受けし少女でも何者でもない、【ただのカレン】だからなんだよ!」

「うっ……ろ、……き」

「アレスやソフィアちゃんだってそうだ! 二人がお前の側に居るのは、お前がカレンだから何だよ! 友達として隣に居てくれるんだよ!」
 
ロキの言葉に何度も頷きながら、二人の姿が脳裏を過る。

そうだ……。

みんなと一緒に居た時の私は、ただの普通のカレンで居る事が出来た。
 
友人として、一人の女の子として二人は私に接してくれていた。

ロキだってそうだった。

なのに私は……。

「それにお前の思いはちゃんと、サファイアに届いているぞ」

「えっ……」
 
その言葉に私は顔を上げ、瞳に優しく微笑んでいるロキの顔を映した。

「どうやらソフィアちゃんとザハラの戦いを止めたのが、氷結魔法を使っていた人らしいんだ。まさか魔剣が人の姿になれる、なんて思わいけどさ、その人は確かにこう言っていたそうだ。【カレンに頼まれたから】って」

「……サファイア」
 
私はサファイアへと視線を送る。しかしサファイアは特に反応を示す様子はなく、私は目を細めてサファイアを見つめた。

「だからさ、お前がサファイアに認められる日だって、そう遠くはないはずだ」

「ロキ……」

「一緒に頑張ろうぜ、カレン! 一人で悩まなくたって良いんだからさ」
 
そう言って彼は私に手を差し出す。

差し出された手を見つめた私は、涙を拭ってそっとその手を取り。

「ありがとう、ロキ」
 
心からの笑顔を浮かべて、ロキに微笑みかけた。
 
そんな私の顔を見たロキは少し気恥ずかしくなったのか、頬を赤くすると【お、おう!】と言って頬をポリポリ掻いていた。

そんなロキを初めて見た私も軽く笑みを浮かべた。
 
そんな私たちを見ていたサファイアの刀身が、一瞬だけ光輝いていた事を私たちは知らない。
 
そうだ、いつかサファイアに認められるためにも今は頑張り続けるんだ。
 
今度こそサファイアに認められた時は、みんなを守る為に力を振るって見せる。

そして必ず自分の成すべき使命を果たすんだ。