ヴェルト・マギーア ソフィアと竜の島

しかしサファイアはそんな私の思いを裏切るように、魔力をまとわせてはくれなかった。

それどころか、私は彼女の声すら聞いた事がないのだ。
 
先生はよく魔剣の二人と話をしていた。

その会話は守護者だったら全員が聞こえるはずの声だと言う。

しかし私は未だに、先生が持っている魔剣の声を聞いた事がない。
 
だから先生は、今の私では完璧な守護者とは言えないといった。

完璧な守護者でなければ、サファイアの氷結の力を最大限に引き出す事が出来ないと、先生にそう言われた私は悔しかった。
 
どうして私はサファイアの主なのに、彼女の声を聞くことが出来ないのだろう? 

そんな私がどうして、サファイアの主なのだろう?
 
その事でここ最近悩んでいた時、あの戦いで私はサファイアにヒビを入れてしまった。

本当の主なら、ヒビくらい簡単に治す事が出来る。
 
しかし私はサファイアのちゃんとした主ではない。

だからサファイアに入ったヒビを治すには、それなりの時間が掛かってしまう。
 
私はあの時ヨルンの言葉を聞いて、自分が未熟者だと言う事を心底思い知らされた。

私は未熟だ。

どんなに頑張っても、サファイアに認められない。

先生のためにこの力を振るいたいのにそれが出来ない。

守護者として自分の使命を全うする事が出来ない。

「悪いな、カレン」
 
先生が旅に戻る六年前だって、私は彼の背中を見送ることしか出来なかった。

先生はどうしてこの世界を旅して回っているのか、その先に待っている大きな目的とはなんなのか。

その事すら先生は私には話してくれなかった。

それが悔しくて、悲しくて、苦しくて、だから私は一人頑張ることしか出来なかった。
 
【氷結の魔道士】、【氷の女神の加護を受けし少女】なんて呼ばれるたび、その二つの言葉がどんどん私の重荷になっていった。