雪道の運転じゃない、と思う。 あれ、止まるの? 家に体当たりするんじゃないかと恐怖に心臓が縮みこむ。 黒い塊は宗忠の同僚が乗ってきた車の鼻先でぴたりと止まった。 「こえ~・・」 同僚がつぶやいたのが、モニター越しに聞こえてきて、倫子は思わずうなずいた。 「あれ、菊池、早かったね」 宗忠がにこやかに笑いながら、軽やかに車から降りてきた。 爽やかな風さえ吹いているように見える。 でもなんだか怖い?