人の気持ちはすぐに変わってしまう。


だから、今の自分の気持ちを大切にして、好きな人にちゃんと好きと言えるようにしなきゃいけない。


「そう言うと思ってた」


あたしの言葉に夏は嬉しそうにほほ笑んでそう言った。


あたしは泣き笑いの顔を浮かべ、夏を見た。


夏の体はどんどん透けて薄くなっていて、もう時間がない事は理解していた。


よかった。


ちゃんと伝える事ができて、本当によかった。


「もう時間みたいだ」


「……うん」


「サユ。お前は1人じゃない。周りに沢山の仲間がいる」


「……うん」


「俺よりももっといい男が現れたら、その時はその気持ちを大切にしろよ」


そんな言葉聞きたくなかった。


ようやく通じ合ったばかりなのに、そんなお別れの言葉なんて……。