すると夏は少し困ったように眉を下げて……あたしの体を包み込んでくれた。


その感触はもうなかったけれど、暖かな空気に包まれているような感じがした。


「受け取ってるよ、ちゃんと。全部読んだよ、サユからの手紙」


「で……も……!」


「それが過去の俺に届かなくても、返事を書いていたのが俺の兄貴でも関係ない。俺はサユからの手紙をちゃんと受け取って、そして読んだんだ。


兄貴は俺の気持ちを最大限理解し、そして返事を書いてくれていた。それじゃ、ダメか?」



そんな優しい声で、そんな風に言われたら、もう言い返す事なんてできなかった。
2人ともあたしを笑っていたわけじゃない。


傷つけようだなんて、そんなこと思っているハズもない。


本当はわかってた。


ただあたしが信じたくなかっただけだった。


「サユ。俺の気持ち、聞いてくれる?」


そっと体を離されて夏を見た。


「サユ。俺がずっと変わらなかった気持ち……。俺はサユの事が大好きだ」


そう言う夏はとても無邪気にほほ笑んでいて、照れくさいのか頬を赤らめていて、そして真っ直ぐで……。


「あたしも、好きだよ! 大好きだよ! ずっとずっと、夏が好き!」


あたしは夏に負けないようにそう言った。