玄関の明かりがついていて、あたしは階段の中央付近で立ちどまった。


こんな時間に誰か外に出たのかな?


そう思っていると、新聞を持ったサオお姉ちゃんが玄関から入って来たのだ。


サオお姉ちゃんは音を立てないようにそっと玄関を閉めたところで、あたしがいることに気が付いた。


驚いたように目を見開いてあたしを見るお姉ちゃん。


「おはよう」


あたしは小さな声でそう言って残りの階段を下りきった。


「お、おはよう。びっくりするじゃない、そんなところにいて」


サオお姉ちゃんはそう言うと新聞をギュッと胸の前で抱きかかえるようにして、ホッと息を吐き出した。


そんなに驚かなくてもいいのに。


「今日は早く目が覚めちゃって、新聞でも読もうと思って下りて来たの」


そう言うと、サオお姉ちゃんは自分が持っている新聞を見おろし、あたしに差し出して来た。


「いいの?」


「いいよ。あたしも早く目が覚めて、新聞配達の音が聞こえて来たから取りに来ただけだから」


サオお姉ちゃんはそう言うと、欠伸をしながら階段を上っていったのだった。