あたしの中の嫌な予感は加速していく。


「ごめんねサユ……あのポストはあたしと友太で用意したものなの」


歯切れが悪いままの友太さんを見てサオお姉ちゃんがそう言った。


あたしは目を見開いてサオお姉ちゃんを見た。


「冗談でしょう?」


そう聞く自分の声が震えていた。


きっと、こうなることはわかっていた。


今朝、2人を見た時から悪い予感はしていたんだから。


だけどそれをいざ突き付けられてしまうと、どうしても動揺してしまう自分がいた。


「サユがポストに入れるたびにそれを回収して、友太が夏君の文字を真似て返事を書いて――」


「冗談はやめて!!」


あたしはサオお姉ちゃんの言葉を遮り、友太さんを押しのけて玄関の外へ駆け出していた。


「サユ!?」


後方からお姉ちゃんが追いかけて来る声が聞こえて来る。


聞きたくない聞きたくない聞きたくない!!


身を切るような寒さなんて感じている暇もなく自転車に飛び乗っていた。


どこか遠くへ。


今の話をすべて忘れられるくらい遠くへ行きたかった……。