結局、あたしは『過去ポスト』を探すことができないままだった。


気が付けば日が落ちていたので、仕方なく家に帰って来た。


けれど食欲なんてなくて、お風呂に入る事も億劫で、ずっと部屋に籠って泣いていた。


どれだけ泣いても。


どれだけ辛くても。


どれだけ苦しくても。


みんな平等に朝が来る。


部屋に冷たい空気が立ち込めてきた時、あたしは朝の気配を感じて窓の外を見た。


まだ辺りは暗いけれどどこからか鳥のさえずりが聞こえてきていた。


あたしは椅子に座り、机に置かれている夏からの手紙をぼんやりと見つめる。


すでに『過去ポスト』がなくなってしまった今、夏がこの手紙を書いた後に思い直して海へ行くことをやめてくれていることを願うしかなかった。


そんな都合のいい事なんて起こらないと頭では理解しているのに、願わずにはいられなかった。


また夏と笑い合う事ができたら。


また夏とバカみたいな話ができたら。


また夏と穏やかな海に行く事ができたら……。