最後の文章に思わず涙がこぼれていた。


水滴は机の上にポタポタと落ちていく。


あたしは手紙が濡れないように手で持って、最後の文章を何度も何度も繰り返し読んだ。


《サユが好きだ。》


《ずっとずっと、好きだ》


いつもみたいに汚い字で、だけどしっかりと書かれているその文章。


あたしは手紙を抱きしめて嗚咽した。


あの日夏があたしに伝えたかった気持ちが今ここにある。


とても暖かくて優しくて、そして世界一勇気のある言葉。


「夏……夏……!」


この手紙の文面からすれば、夏はやっぱりあの海に行くんだろう。


やめなよって止めるあたしの言葉を聞かず、海に入ってしまうんだろう。


「な……つ!」


涙はとめどなく溢れ出す。


どうして夏を止める事ができないんだろう?


どうすれば夏の命を守る事ができるんだろう?