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夏からの返事が来たのはその日の午後だった。


部屋で課題をしているとポストに何か投函される音が聞こえて来たので、あたしは弾かれたように立ち上がった。


一気に階段を駆け下りて玄関を出る。


郵便配達のバイクが遠ざかっていく後ろ姿を見ながらポストへと走った。


そこ入っていた見慣れた真っ白な封筒に、心臓がドクンッと大きく跳ねた。


この手紙で夏が海へ行く事諦めたかどうかがわかる。


そう思うと手にジワジワと汗をかき始めていた。


冬だというのに体が熱くて、部屋に戻ると暖房を止めた。


机の上の課題を押しのけて小さな手紙を置く。


椅子に座り、深呼吸を繰り返した。


手紙を貰ってここまで緊張したことは今まで一度もないかもしれない。


だけど、きっと大丈夫だ。


ここ一か月間、あたしは頑張って夏と手紙のやりとりをしてきたんだ。


夏は『過去ポスト』の存在を理解してくれているし、あの海で起こる出来事だって信じてくれたはずだった。


あたしは大きく息を吸い込んで真っ白な封筒を開封した……。