あたしが一番伝えたかった事を書いた手紙を投函した翌日。


目が覚めるとバイク音が遠ざかっていくところだった。


あたしはベッドから上半身を起こし、耳を澄ませる。


静かに玄関を閉じる音が聞こえて来て、そのままリビングへと向かう足音が聞こえて来る。


サオお姉ちゃんだ。


あたしはベッドから起きだして一階へと向かった。


今日も学校は休み。


だからこんなに早く起きる必要はないのだけれど、どうしても気になる事があった。


「サオお姉ちゃん、おはよう」


リビングのドアを開けてそう声をかけると、新聞を広げていたサオお姉ちゃんが驚いた顔で振り向いた。


髪型も服装も、しっかりと整えられていて今起きた様子ではない。


「サユ、どうしたの?」


「目が覚めちゃって」


そう言い、あたしはサオお姉ちゃんの隣に座り、新聞を覗き込む。


全国欄には最近起きた物騒な事件に関する記事が載っている。


「最近やけに早いじゃん」


「サオお姉ちゃんもでしょ?」


「あたしは社会人なの。新聞くらいちゃんと読まなきゃ仕事に行けないのよ」


「本当に、それだけ?」


首を傾げてそう聞いてみると、サオお姉ちゃんは咄嗟にあたしから視線をはずした。