歩きながら泣くなんて嫌で下唇をギュッとかみしめて大股に進んでいく。


泣くな。


泣くな。


自分にそう言い聞かせながら歩いても、涙は止まらない。


頬を流れ始めた涙はどんどん溢れて来て、アスファルトにシミを作って行くばかり。


夏が生き返るなんて、そんな夢みたいな話あるワケない。


夏を助ける事ができるなんて、そんなことできるワケがない。


でも信じてた。


『過去ポスト』は実在して、それを使うことで夏は助かると信じていた。


「うぅ……っ」


辛すぎて嗚咽まで漏れてしまい、恥ずかしくてうつむいて歩いた。


早足に家まで戻るとそのまま二階へ駆け上がった。


一階のリビングからお母さんの声が聞こえて来るけど、何も返事はできないまま自室に駆け込んだ。


1人になった瞬間、今まで流れていた涙が洪水のようにあふれ出した。


クッションを抱きしめ嗚咽をかき消して泣く。