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車はコンビニの駐車場に止まり、友太さんは昼ご飯を買って戻って来たところだった。


あたしはお母さんの作ってくれたお弁当がある。


学校に行かずこんな場所で食べる事を申し訳なく思いながら、膝の上にお弁当を広げた。


「サユちゃんの手作り?」


「そんな、違います」


友太さんの言葉にあたしは慌てて左右に首を振った。


お弁当は栄養バランスを考えて作られいるし、見た目もカラフルでとても美味しそうだ。


こんなお弁当、あたしにはまだ作れない。


「お母さんが作ってくれるんです」


「そうなんだ。いいお母さんだね」


優しい笑顔でそう言われると、なんだかくすぐったい。


お母さんを褒められることはとても嬉しかった。


「サユちゃんは一人っ子?」


「いいえ。サオっていう名前のお姉ちゃんがいます」


「へぇ? サオとサユ? もしかして双子?」


「お姉ちゃんはOLです。名前は女の子が生まれても男の子が生まれても、似たような名前にしたいって思ってつけたって聞いてます」


あたしがそう言うと友太さんは「へぇ~」と、感心したように頷いた。


「友太さん、兄弟はいるんですか?」


「あぁ、上に姉貴が1人。でも名前は花梨っていうんだ」


「花梨って名前、可愛くて素敵です」


あたしがそう言うと、友太さんは少し照れたように頭をかいた。


家族を褒められると嬉しい。


だけどどこかくすぐったい。


それは同じみたいだ。