桜舞い散るとき、キミは涙する


保志君だ!


やっぱり恋の力ってすごい。


人混みの中にいても、保志君の姿だけはすぐにみつけることができる。

まるで魔法でも使ったみたいに。


保志君は、以前と同じように壁にもたれ、文庫本を読んでいた。


やっぱりカッコイイなぁ。


今日は黒いストレートジーンズに、グレーのインナー。

更にその上に、清潔感溢れる白い長袖シャツを羽織っている。


落ち着いた雰囲気が保志君によく似合っていて、おもわず見惚れてしまう私。

相変わらずのかっこよさに、ドキドキと胸の動悸が止まらない。


目がハートになるって、まさにこーゆーことなのかも。


出来ることなら、このままずっと見つめていたいけれど。

初デートから、いきなり待ち合わせ時間に遅れるわけにもいかない。


それに最初が肝心だって、佳奈からも耳にたこができるほど聞かされたし。


よしっ。頑張ろう!


期待と緊張に高鳴る胸を抑え、心の中で気合を入れる。


そしてゆっくりと、保志君に歩み寄った。