「ご、ごめんなさい……っ。保志君の気持ちを考えたら、ものすごく辛かっただろうなって」
──『この世界から消えたいと思ったことないの?』
いつか本屋で保志君が言っていた言葉が不意に蘇る。
あの時どんな気持ちでそう言ったのか。
思い出すだけで、胸が潰れそうなほど切ない。
私がこの世に生まれた時、もうお父さんは亡くなっていたから、私は寂しさは知っていても悲しさは知らない。
保志君は、この両方と闘って苦しんできたんだ……。
とめどなく溢れる涙を、何度も何度も手の甲でぬぐう。
私に何かできないだろうか。
保志君が前みたいに笑えるように。

