桜舞い散るとき、キミは涙する


「美桜ちゃんは亡くなったんだ」

「亡く……なった……?」


急転直下の展開に心が追いつかない。


「亡くなったって……。死んじゃったって、ことですか?」

「そう。もう二度と会えないんだよ、美桜ちゃんには……」

「そんな……」


悲しそうに清水君が、力なく視線をテーブルに落とす。


「中等部を卒業してすぐだった。交通事故で」

「……」

「それからだよ。大和があんまり笑わなくなったのは」

「前からクールだったわけじゃないんですか?」

「あぁ。以前は割と愛想のいいヤツだったんだ。よく笑ってたし」


あの保志君がよく笑ってたなんて。

一度も彼の笑顔を見たことがない私には、正直全く想像できない。


「結局高等部でも続けるはずだったバスケも辞めちまって。
それからはずっと、勉強一筋の不愛想男になっちまった」

「…………」

「まぁ、アイツの気持ちもわからなくもないけど……って。え?真咲さん!?」

「っ!」


気が付くと私の瞳からは、大粒の涙がこぼれ落ちていた。