桜舞い散るとき、キミは涙する


「美男美女ですっげーお似合いで。理想の恋人同士っていうかさ。
とにかく本当に羨ましいぐらい仲がいいカップルだったんだ……」


そこまで言い終えた清水君が、再びアイスティーで喉を潤す。


私は正直ショックで思考が停止しかけていたけれど……。


話を聞いているうちに、ある1点だけどうしても引っかかることがあった。


「あの……、どうしてみんな過去形なんですか?」

「っ!」


私の指摘に、清水君の表情が強張る。


バスケ部だったのも、みんなの憧れだったのも、仲が良かったのも、恋人同士だったのも……。


清水君の表現はどれも過去形ばかりで、現在進行形の事柄(ことがら)が1つも出てこない。


秀明館は中高一貫教育。

通常であれば高校も一緒で、今も同じ状況が続いている可能性が高いのに。


「もしかして美桜さん、転校されたんですか?」

「いや……」


それじゃあいったい?


私が再び尋ねようとした時、これまでで最も衝撃的な事実を清水君から告げられた。