桜舞い散るとき、キミは涙する


清水君の半強制的な制止発言に、一瞬言葉を失う私。


なんで?保志君がモテるから?

それとも保志君がミオさんのことを……。


「特に真咲さんは、これ以上大和に深入りすると必ず後悔することになる」

「私、平気です!傷付く覚悟だってとっくに出来てます。
それに……後悔なんて絶対しません」

「でも……」


なぜ皆が皆、そうまでして私にミオのことを隠すのか。

どうしても納得できない。


「お願いします!教えて下さい!」


もう一度深々と頭を下げ懇願(こんがん)する私に

「まいったな」と清水君が大きなため息をつく。


「俺の話を聞いたら、真咲さん絶対傷付くことになるけど……。それでもいいの?」

「はい」

「自暴自棄になったりしない?」

「大丈夫です」



──『傷付くことになる』



そう言われた時点で、きっと私はもう失恋確定なのだろう。


けれど何も知らないまま、この恋に終止符を打つなんて……。


大切な恋だからこそ、それだけはどうしてもしたくなかった。