桜舞い散るとき、キミは涙する


「あの……『ミオ』さんて誰ですか?」

「っ!?」


『ミオ』という名前を出した途端、清水君の表情が一瞬にして曇る。


私から視線をそらすと、難しい顔をしてそのまま押し黙ってしまった。


この反応……。

予想してたけど、私もここで引き下がれない。


「どうしても知りたいんです。色々あって保志君を好きになって……。
ミオさんのこと知らないままじゃ、これ以上前に進めないんです」


私は保志君とのこれまでのいきさつを説明し、今度は包み隠さず自分の気持ちを伝えた。

そうしないと、清水君に対して失礼な気がしたからだ。


「協力してほしいとか、仲をとりもってほしいとかそんなんじゃなくて……っ。
どうしてもこのままじゃ、頑張ることも諦めることもできないんです」

「……」

「だからどうか、ミオさんのこと教えて下さい。お願いします!」


とにかく必死で頭を下げる。


今の私には、そんなことぐらいしかできないから。