桜舞い散るとき、キミは涙する


「大和と付き合いたいから協力してくれっていう話なら無理だから」

「え?」


協力?


清水君の予想外の言葉に、慌てて手のひらを顔の前でパタパタと振る。


「ちちち、違います!そうじゃなくて、私はただ教えてほしいことがあって……っ」

「そっか。悪い。大和がらみで俺に近付いてくるヤツって、みんなそればっかだったから」


苦笑いを浮かべる清水君に、チクリと痛む私の胸。


考えてみれば、保志君を好きという面においては、私はその子達となんら変わりないわけで。

後ろめたさを感じずにはいられない。


「お待たせ致しました」


気まずい空気が漂う中、タイミングよく運ばれてきたアイスティーを互いに口に含み、一呼吸置く。

アイスティーの冷たさで冷静にはなってきたけれど……。


やっぱり保志君てモテるんだ。

そうだよね。あんなにカッコよくて頭もいいんだもん。

当たり前だよね。


同時に、改めて再確認した現実に早くも心が折れそうになってきた。


ダメ……。ここで逃げちゃダメだ。

絶対頑張るって決めたんだから!


逃げたい衝動を必死に抑え、汗でビッショリの手のひらをグッと握りしめる。

そして勇気を出して今度こそ、話の本題を切り出した。