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ここは秀明館高校から歩いて5分程のレトロな喫茶店。


保志君に知られずに話がしたい旨を告げると、路地裏にあるこのお店に連れて来てくれたのだ。


この前清水君と偶然会ったファーストフード店と比べると、随分落ち着いた雰囲気のお店だな。

店内に流れているクラシック音楽が、なんとも耳に心地よい。


そんな中


「この前は鞄を拾ってもらってどうも。それで、話って何かな」


店員さんへ注文が済むと同時に、清水君の方から尋ねてきた。


「えっと……その……」


どうしよう……。何から話せばいいのかな。


心の準備はしっかりしてきたはずなのに。

いざとなると、どう切り出したらいいか迷ってしまう。


そんな口ごもる私を見て何かを悟ったのか、清水君が冷ややかな口調で「悪いけど」と話を遮った。