桜舞い散るとき、キミは涙する


* * * * * *


「お会計、2560円になります」



本屋で保志君に選んでもらったのは、英語と数学の参考書・計二冊。


中身が乏しい財布の中から会計を済ませると、もう小銭しか残っていなかった。



うぅっ……。高過ぎる……。


自分で言い出したとはいえ、手痛い臨時出費に心がへこむ。


でも、私のために、一生懸命保志君が選んでくれたんだから!


普通なら面倒なはずなのに、嫌な顔ひとつせず付き合ってくれた保志君。


各参考書のいい点、悪い点を、丁寧に解説までしてくれた。



「エヘヘ」


紙の袋に入った参考書を、ギュッと抱きしめる。


確かに高い買い物だったけど、保志君の優しさの塊(かたまり)でもある。


そう思うと、胸がほんわか温かくなった。