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「ヤバ!メッチャ私の好みなんだけど~」
「誰か待ってるのかなぁ?まさか彼女とか!?」
「ね~ね~、声掛けてみようよ」
うわっ。すっごい人だかり……。
正門からちょっと距離を取るようにして、数十人の女の子達が色めき立っている。
その姿はまるで、アイドルの出待ちをしているファンのようだ。
「ほらほら!うちらも早く顔を拝んでこよ~よ」
「え!?あ、ちょっと佳奈ってば」
「やめようよ」という制止の声も聞かず、私の腕を掴んだまま佳奈が足早に歩き出す。
そのまま大胆にも男子生徒の横をすり抜けると、顔が見えるよう正面に回り込んだ。
これってば、すっごく失礼なんじゃ……。
「ごめんなさいごめんなさい」と、何度も心の中で男の子に謝りながら、通り過ぎるふうを装いチラリと横目に顔を見る。
「っ!!」
ドクン!
その瞬間、心臓を鷲づかみにされたような衝撃が全身を駆け抜け、私の思考回路が完全に停止した。

