桜舞い散るとき、キミは涙する


* * * * * *


キーンコーンカーンコーン


授業の終わりを告げるチャイムが、教室に響き渡る。



あれ……?もう放課後……?


寝ぼけまなこでゴシゴシと目元をこする私。


結局昨夜はなかなか寝付けず、おかげで今日の授業は一日中半寝状態。



「実~紅!一緒に帰~ろ」


そんな私とは対照的に、元気いっぱいの佳奈が軽快な足取りで駆け寄ってきた。


「うん……」

「あれ?実紅、具合でも悪いの?」


いまだボーっとして覚醒しきれない私に、佳奈が心配そうに首を傾げる。


「ううん、ちょっと寝不足なだけ」

「寝不足って……。あ!どうせ夜遅くまでテレビでも見てたんでしょ~」

「アハハ。まぁ、そんなとこ」



まさか

『昨日会った彼のことが気になって寝られなかった』

なんて、特に佳奈には口が裂けても言えない。


「やっぱりね~」と頷きながら佳奈が納得していると、なにやら他の女子が楽しげに騒いでいる声が聞こえてきた。



「ねぇねぇ!正門のところに、秀明館の男の子がいるんだって!」

「うっそ、マジで!?」

「しかもメッチャイケメンらしいよ!!」

「え~!?見たい!!」


キャ~キャ~と黄色い声をあげながら、バタバタと教室を出て行く女の子達。