「ほらねほらね。実紅だってやっぱ、そう思ってんじゃん」
「そりゃ、まぁ……」
確かに私も、あまりにも予想外の場所すぎて、最初は佳奈と同じことを思った。
けど……
「でも、でもね、大和君が連れてってくれたのは普通の図書館じゃなくて、すっごく大きな図書館でね!
見たこともないくらいたくさんの本が、ズラーッて棚に並んでて。
とにかくホントにすごかったんだよ!!」
「『すごい』……ねぇ……」
力説する私を尻目に、尚も不満気にため息をつく佳奈。
佳奈の気持ちも、わからなくはない。
きっと女の子なら、みんな同じ反応をすると思う。
でも、大和君が連れて行ってくれた図書館は、県内でも随一の蔵書数を誇るとっても貴重な図書館で、大和君の大好きな場所なんだって、彼は目を輝かせながら話してくれたんだ。
本に興味がない私には、正直それがどれほどすごい場所なのかよくわからなかったけど。
それでも大和君が、自分のお気に入りの場所に私を連れて行ってくれたことが、なによりもただただ嬉しくて。
それだけでもう、十分過ぎるほど満足だったんだ。

