桜舞い散るとき、キミは涙する


* * * * * *

「はぁ~~~っ!? 図書館~~~!?」


翌日の月曜日。


ホームルーム前の朝の教室に、佳奈の声が盛大に響き渡った。


目をまん丸にして立ち上がったままの佳奈の口を慌てて塞ぎ、強引に座らせる。

一斉に注がれた教室中の視線に愛想笑いを返し、ズイッと佳奈に顔を近付けた。


「佳奈、声大きすぎ!」


周囲を気にしながら、小声で佳奈をたしなめる。


「だってさ~……」


机を挟んで相向かいに座っている佳奈が、不服そうに頬杖をついた。


「デートっていえば普通さ~、映画とか遊園地とかじゃん?
それがまさか図書館なんて、ありえないっつ~の」

「う……、それは……」


そうなのだ。

昨日大和君が連れて行ってくれたのは、デートスポットというには程遠い『図書館』だったのだ。