桜舞い散るとき、キミは涙する


「ゴメンね! いきなりそんなこと言われても困っちゃうよね!
私は今までどおり『真咲さん』でいいから、気にしないで」

「………… 実紅」

「え……?」


大和君今、『実紅』って言った?


驚きのあまり、おもわず隣にいる大和君の顔を仰ぎ見る。


「いい名前だね」

「あ……」


優しく目を細め、大和君がそう静かに呟いた。


そんなこと、人から言われたの初めて……。


トクン、トクンと、心臓が小さく脈打つ。


あぁ……。やっぱり私、この人が好き……。


さっきまで曇っていたはずの心が、大和君のたった一言で、一瞬にしてバラ色の世界へと変わってしまう。


真っ青な空から、真っ直ぐ彼に降り注ぐ太陽の光。

キラキラキラキラ輝いて、切ないくらい眩しい。


大和君て、まるでお日様みたい。


彼の横顔を見つめながら、心から、そう思ったんだ──……