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どこに行くのかな?
行き先を告げられぬまま、保志君のあとについて電車で移動すること30分。
現在更にそこから、徒歩で目的地へ向かっている真っ最中である。
初めてこの町で下車したけど……。
近くにテーマパークとか、大きなお店とかあったっけ?
見渡す限り、一般的な家屋や自然豊かな風景ばかり。
閑静な住宅街といった感じで、お世辞にも、デートに向いている場所とは思えない。
それでもこうして、保志君の『彼女』として並んで歩けることが夢みたいで。
嬉しさでずっと緩みっぱなしの頬を、保志君にバレないよう両手で覆い隠した。
「? どうかした?」
「え?」
そんな私の仕草を不思議に思ったのか、保志君が首を傾げながら話しかけてくる。
やばっ! 変なヤツって思われた!?
「ううん! なんでもないよ、なんでも!」
「そう」
慌てて笑顔を取り繕い、平静を装う。
あ、危なかった……。
せっかく今日は保志君に褒められたんだから、出来ればそのイメージを壊したくない。
本来の落ち着きの無さがこれ以上露呈するのを避けるため、私は「あのね」と早々に話を切りかえた。

