桜舞い散るとき、キミは涙する


あ……。どうしよう……。


恋愛の例えで、『ハートを鷲づかみ』とか『ハートを射抜かれる』とかいう言葉をよく耳にするけれど。

今の私が、まさにその状態。


「髪型がいつもと違うから、ちょっと驚いたけど」

「え!? やっぱり変かな!?」

「いや……すごくいいと思うよ」

「っ!!」


ズキュン ドキュン バキュン


ヤ、ヤバい! ヤバすぎる!!

ただでさえ褒められ慣れていない私が、それも男子に、しかもしかも大好きな保志君にこんなに褒められるなんて!!


おもいっきりハートをぶち抜かれてしまい、キュン死に寸前だ。


「えーと……。それじゃ、どこへ行こうか」


クールな保志君も、さすがに自分の言動に照れたようで。

軽く頭をかきながら、それとなく話題をかえてきた。


対して私はというと、いまだテンションマックスで、心臓はバクバクものだったけれど


「あの…… 保志君の行きたい所で」


なるべく清楚系女子を意識し、しおらしい小さな声でそう答えたのだった。