中谷「俺もそこまで詳しくないが、
   話してやる。部屋入れよ。」




促されるまま、部屋へと足を運ぶ。
テーブルを囲むソファーに腰掛ける理事長と同じように、それぞれがソファーへ腰をかける。




中谷「お前らは、戒からどこまで話を
   聞いたんだ。」




奏太「黒うさぎ。・狼月の正体があいつ。
   姉貴の仇が【有栖 流】」



中谷「そうか…。そこは聞いたんだな。
   なら、俺から話せるのは…なぜ
   姉貴に対してそこまで執着してるか」



記憶を辿るように、目を閉じ話始める。
そこで聞いたのは…両親を早くに亡くした中、姉がとても大きな存在だったこと。


そして…。



中谷「知ってるだろうが。あいつの姉
   野々宮 舞花は【アゲハ】だった。
   大好きな姉が…自分の力量を
   見誤った戒を、庇って死んでる。」



中谷「あいつは…独りになった原因・
   姉貴は【アゲハ】で最強という
   肩書き含む全てを、有栖への
   負の感情で埋まってしまった。」



気持ちは…分からなくもない。
たった1人の家族を…尊敬できる姉を
奪われ、独りになったら…。