プロポーズは金曜日に

『僕も、好きですよ』


伊波くんがくれた言葉を、ゆっくり反芻する。


伊波くんとの時間を、ゆっくり思い返す。


『好きって言えよ』

『今日は帰さない』

『お前しか見えねえんだよ』


変になっても、瞳にこもる熱量は変わらないこと。


『もうちょっと近づいてもいいですか?』

『何か、ありますか?』


大抵の言葉尻には、柔らかな疑問符がつくこと。


『だって、一番分かってるでしょう?』

『大丈夫ですよ』


尊敬していること。


『僕も、麻里のこと、愛してますよ』


……愛していること。


『好きですよ』


——私は伊波くんのことが、好きなこと。


まり。

麻里。


小さな笑いジワ。柔らな微笑み。穏やかな呼び声。


「麻里」


麻里のサバサバしたところが好きです。ちょっと料理が苦手なところが好きです。麻里の笑顔が好きです。


「嘘を吐かないところが好きです。言葉は選ぶけど絶対嘘は吐かないところを、僕ね、ずっと尊敬してるんですよ」


……あ、と思った。基準、おんなじだ。


ふと胸に迫る幸せに、泣きたくなる。


……ああ。


どうしよう。どうしよう。


私今、ものすごく伊波くんと結婚したい。


「い、なみくん」


伊波くんは、はい、と穏やかに頷いて、私が望んだ言葉をくれた。


「好きです。麻里が、好きなんです」