プロポーズは金曜日に

「麻里が僕の部屋に来てくれたときはいつも、帰したくないと思っています」

「えっ」

「このまま、そばにいてくれたらいいのにって。朝起きたら、隣に麻里がいてくれたらいいのにって。……終電、逃さないかなあなんて、僕、本当はね、すっごく真剣に願ってるんですよ」


引きますか、とまた困った顔をするので、勢いよく首を振って否定した。


『今日は帰したくない』


これ、そういう意味だったのか。


てっきり私が好きそうな甘い台詞を状況に合わせて使ってるのかと思ってたんだけど、そうじゃ、なかったらしい。


「それから……麻里しか見えないっていうのも本心です」

「うん、それは知ってた」

「知ってましたか。よかった」

「よ、よかった、ですか、ね……?」


思わずすとんと頷いた私に、にこりと笑ったのが何だかくすぐったくて、目を泳がせれば。


「よかったですよ。知らないとか言われたら悲しいです。だって麻里は僕の特別ですから。好きな人をずっと見ていたいと思うのは、自然なことでしょう?」

「っ」


息を飲む私なんてお構いなしに、伊波くんは至極あっさりと、そんなことを言った。